『Papa told me』 / 著・榛野 なな恵

「Papa told me (パパ トールド ミー) 」をご紹介します。これは『自由で創造的な父子家庭』を目標とする小学生の女の子・知世ちゃんと、作家のお父さんの生活を軸にした、ほのぼの日常&ときどきファンタジーな漫画です。

連載開始が1987年で、今も1年に1冊くらいのペースで新刊が出ているという長期連載漫画。可愛らしい絵柄と、ゆったりとしたペースで語られるストーリーですが、その中に、ピリッとしたスパイスがちりばめられているお話です。

今回、この本を紹介するにあたって、読み返してみたのですが、作者の『日常の中の小さな違和感』に対する目線、そしてそれを表現することを30年以上前から一貫して続けている姿勢があらためて「すごいな」と思いました。

例えば、作中に、父子家庭のひとりっ子である知世ちゃんの事を「さみしいでしょう、かわいそう」と言って、お父さんに何度も再婚を勧めてくる大叔母さんが登場します。

その大叔母さんに会った時のことを、知世ちゃんは仲良しの編集さんに「全然わかってくれないんだから簡単なこと。さみしいことだってすてきなことなんだってこと わたしには」と話し、編集さんは「そうか、そうよね。みんな違う 自分の『すてきなこと』を持ってるのにね」と応えます。

そんな風に、日常の中にある違和感を見過ごせない、そしてそれをそのままにしない知世ちゃんの言葉や行動と、時に悩んだりハラハラしたりしながら、知世ちゃんを見守るお父さん。そして、その2人の周りの、繊細で逞しくてユニークな、普通の人たち。

そういう登場人物達の姿を30年以上も描き続けている作者は、『革命家』なんだな、と感じています。

派手な展開やドラマチックな激しさはないけど、静かに穏やかに時間をかけて、気づいたら身体に染み込んでいるような革命家魂を、この物語から感じるような気がします。

いつでも、ふと思い出した時に読みたくなる本。登場人物たちと同じ、繊細で逞しくてユニークな、普通の人たちにオススメしたいなと思います。

なぜそれが自分にとって大切なのか、なぜそこに拘らずにいられないのか。
人が納得できるような説明はできないけど、でもそれを捨てられない。

言葉にならない、言葉にできない「なにか」を、それでも無いことにできない。

そんな人たちにオススメしたいです。

Papa told me
榛野 なな恵
(Amazonへ)

この本をオススメしてくださった人・藤崎明日美
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宇宙図書館 No.9
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