『夜中の薔薇』 / 著 向田邦子

昭和に生まれて映画や小説などの仕事をした、時代の先駆者的な著者の日常を描いたエッセイです。生き方、暮らし方などがとても素敵です。

そして、言葉がきれいです。エッセイを読んでいると、言葉だけなのに景色、におい、気配など想像が広がります。

向田さんは食べること、遊ぶことがとても好きな方だったと思います。器も好きで、写真で拝見すると、器への深い愛情が伝わってきます。お料理も大好きだったようです。季節の食材を美味しく、美しくいただくことを、いつも大切にしていたんだと思います。
生活を豊かにする達人です。

忘れられないのは『夜中の薔薇』という本の中の『手袋をさがす』という一編。
「気に入った手袋がみつかるまでは買わない」と決めて素手で過ごしていたら、周りの人たちが、いつ手袋を買うのか、気にするようになった。寒くないふりのやせ我慢をして、家族を心配させた。

ある日、上司に「それは手袋だけの問題ではないんじゃないか。男ならいい。女はいけない。女の幸せを取り逃がすよ。今のうちに直さないと一生後悔するんじゃないかな」と諭される。その夜、筆者は家まで歩いて帰ろうと決めて、たくさん考えます。歩きながら、やり直すなら今だ、でも、このままゆこうと決意するという内容です。

なんて強いんだろう。妥協の連続で生きている私の憧れです。
たまに読み返して自分に問いかけていました。
私は自分の何かを探しているか?

今回、久しぶりに読もうと書店に行ったら『向田邦子ベスト・エッセイ』が出版されていました。たくさんのエッセイの中から、妹の向田和子さんが厳選された本のようです。

隅々まで美しい昭和の暮らしを感じ、自分を大切に生きた女性に会いたくなったら、読んでみてください。

夜中の薔薇
著 向田邦子
(Amazonへ)

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宇宙図書館 No.9
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