わたしたちの楽しみでドキドキのチャレンジ「友達の輪」へようこそ!
「普通の毎日を生きる面白い人たち」をクローズアップして、その生き様をご紹介させていただきます。そして、その人から、また別の方へ……さまざまな個性と魅力に富んだ方々と出会えることを楽しみにしています。
第19回目のゲストは、得居裕江さん‼︎
岡田実和さんからのご紹介です。


お名前とどんなことをされているかを教えてください。

得居裕江と申します。株式会社バルーンポップジャパンという会社を経営してまして、そこでは名前の通りバルーンアートの会社なんですけれども、他にもクラフトチョコレート「チョコロンブス」というブランドでチョコレートの製造販売とあと教育研修事業もやっています。

分野が広いですね。

コロナ禍でイベント事業がまったくダメですので、今までメインがバルーンアートだったんですが、そっちを縮小して今はクラフトチョコレートをメインに持ってこようと悪戦苦闘しているところです。

そうなんですね。元々はバルーンアートの会社なんですか?

そうです。

バルーンアートの仕事をしようと思ったきっかけや理由を聴かせてもらえますか。

バルーンアートをやるきっかけですが、その前にわたしはフリーランスで広告デザインの仕事をしていたんですね。最初はグラフィックデザインから入ったんです。それからポップ広告…お店のなかにある商品の説明をしたりするものですが、適正なポップを付けているとものすごくお客様の反応がいいというか。面白いように売れるっていうことが分かってですね。これすごいぞ!って思って。

うんうん。

わたしは主に店舗指導や、カルチャースクールで教えたり、専門学校でも非常勤講師で16年間教えていたりしていたんです。普通の紙媒体よりは半立体にした方がお客さまの目に止まりやすいというアイドマの法則でいうところのアテンションなんですが、まず物自体に注目をさせるんですね。その要素というところで、なんか他に面白い素材ないかなって探していたところ、風船だったんですね。

あーそうなんですね。

風船がお店にポンとあると、ほぼほぼそこに皆さん目をやるんですよね。これはアイキャッチ効果としてすごくいいツールだなと思って。それでバルーンアートをちょっとかじったら、一気にそっちにはまっちゃって(笑)

へぇー!最初は広告から入っていかれたんですね。

そうなんです。北九州と関門海峡がある下関で、そこのお店さんの店舗指導に行ったときに「ふぐフェアをやるんですけど」って言われたんですね。

ふぐ?

ふぐのお土産品みたいな物産展。

うんうん。

だったら!と言って、実際に風船でふぐを作って、それを天井から下げてプラプラさせて、店長さんにも作り方をお教えてして、翌日「どうでした?」て言ったら、すごく人がどんどん寄ってきて「それください。それください」って。

へぇー(笑)

やっぱりすごいな、風船って思ってですね。これ、販促でちゃんと使えるんだと。あとは東京にバルーン協会があって、そのパーティに出席した時にちょっとびっくりしたのが、ホテルの一面にパールホワイトの風船が敷き詰められていて、等身大のバルーンアートの人がウェイターとして立っていたんです。何人もずらっと並んで飲み物のグラスが乗ったトレイを持っているんですね。そこから入って来た人はドリンクを取って中に入っていく感じで。ものすごく大人な世界があって、風船ってどうしても子どものものというイメージが強いんですけど、全然そうじゃないんだなという驚きがあってですね。そこでハマっちゃったという感じです。

なんか分かります。風船ってテンションが上がりますよね。

そうなんです。子供は文句なしなんですけど、大人も今まで見たことないようなものを風船で作られたりすると「えー‼︎」みたいな感じでびっくりして。バルーンアートを始めたのが2000年ですね。

そこからチョコレートはどんな風に繋がっていくんですか?


2000年に個人事業で始めたんですね。通販とかもやるようになって、ちょっとずつジワリジワリと大きくなったので2014年2月14日に株式会社にしたんですよ。それ運命なのかなと思うんですけど。

バレンタインデー。214、214ですね。

そうなんです。覚えやすいからというのもあったんですけど。チョコレートをするきっかけになったのは、2018年に東京へ出張に行くときに、いつもスターフライヤーという北九州の飛行機会社を使っているんですけど、その機内誌が東京でチョコレートを作られている方の特集だったんですね。そのときにびっくりしたのが、チョコレートって作れるの?って。自分の感覚ではチョコレートを作るっていうと、売っているチョコレートを溶かして、また作りなおすみたいな、オリジナルで作るというのとばっかり思っていたのに、チョコレートを一から作るって、それにびっくりしてですね。

うんうん。

それがきっかけなんですよね。そこから試行錯誤しながらハマっちゃって面白くなっちゃったんです。

えっ?機内誌で見ました。そこから自分も作ってみたいって思ったんですか。

そうです。

面白ーい(笑)

作れるんだーと思って。それが2月のあたまだったんですよね。帰ってきてからネットでいろんなサイトを見たり、カカオ豆を取り寄せてみたりして、家のミキサーとかいろいろ使って見よう見真似で作ったら、美味しいのができたんですよ(笑)

へぇー!すごい!

それで調子に乗ってですね。お花見シーズンだから友達に「美味しいでしょ?」て持って行ったら、みんな「おいしい、おいしい」って食べてくれて。そのときは気温とかも偶然、環境が良くて成功したんですよ。

あー、はいはい。

その後、失敗するようになって、なんか上手くいかないなーと思ったら、いろんな要素がいるんだなって思ってですね。それで本格的に勉強を始めて、そしたらまたどんどん面白くなってですね。

2018年からチョコレートが入ってきて、いまはどちらかと言うとチョコレートに一生懸命な感じなんですか?

去年の11月に「チョコロンブス」というお店をオープンさせましたので。


チョコロンブス

チョコとコロンブスをかけて「チョコロンブス」なんです。

面白ーい!最初は、チョコレートって作れるんだ作ってみたい!というのがきっかけでしょう?別に仕事にしようと思ったわけじゃないですよね。

はい。

作ってみたら上手くできて、そして面白くなって気づいたらお店をやるところまでいったということですよね?

そうです。

面白いー(笑) すごい。北九州にお店があるんですね。ご自分のなかで好きなカカオとか産地とかこだわりがあるんですか?

はい。直接取引というのは難しいので、商社を通してるんですけども、その商社というのもフェアトレードで輸入されているので、そこから買うのが支援になるというのもありますし、そんなに扱っているところも少ないというのも現実ですよね。

裕江さんがチョコレートを作っているんですか?

わたしも作りますけど、メインはスタッフさんが作ってくれているんですよ。

レシピを裕江さんが作って、スタッフの方が製造されているんですね。


そうです。

すごいなー。

わたしは主には、お店のポップを作ったりとか事務作業をしているという感じですね。

そうなんですね。ここに教育というのはどうやって入ってくるんですか?

わたしもうひとつ会社をやっていて、それが「たくらみ屋」という会社なんですけど。

たくらみ屋?(笑)

「株式会社たくらみ屋」ていうのをやってて。それはプロジェクトで動くんですよ。代表取締が4人いて、わたしがその中のひとりで、コロナまでは大阪にセミナールームを持っていたんですけど、ちょっと集まれないのでそっちは「さよなら」して。わたしもお店の方をやらなくてはならなくなったので、最近そっちには関わってないんですけどね。そこで教育研修事業というのをやっていて、MGというマネージメントゲーム、昔ソニーが社員研修用に開発したボードゲームを使った経営研修なんです。ひとりひとりが社長になって会社の経営をシミュレーションして、決算してみてどうだったかというものをするんですけど。自ずと会社経営のノウハウも分かってくるし、あとは会計知識もつくというのがあって、それのインストラクターをしています。「たくらみ屋」でインストラクターをしたり、こっちでもここの近辺でやったりとかですね。

へぇー、そうなんですね。いろんなことを手広くされているんですね。

そんなこともないんですよ(笑)

もう一回、チョコレートのお話を伺ってもいいですか?

はい。

チョコレートのお店をされていて、ハマっていることとか、裕江さんの思うチョコレートの魅力とか、裕江さんのお店の魅力を聴かせてもらってもいいですか。

はい。北條さんは「ビーントゥーバーチョコレート」ってご存知ですか。

知らないです。

「ビーントゥーバーチョコレート」というスタイルなんですよ。いま日本に120~150店舗くらいあるって言われていて、ビーンというのはカカオ豆、バーというのは板チョコですので、カカオ豆の仕入れからローストから製造工程、板チョコレートになるまでの製造すべてを自社工房だけで一貫して行うスタイルのことなんですね。すべて責任を持って職人がすべて完結するというそのスタイルでやっているんですよ。

すごいですねー。

ビーントゥーバーチョコレートは、小ロットで作るんですけど、うちも「一度にどれくらい作れるんですか?」と聞かれるんですが、うちは普通のお料理に使うようなボウルでやるので、一回、板チョコ8枚とかなんですよ。


はいはい。

そのかわり、小ロットであるからすべてに目が届くし、例えばカカオ豆をローストして皮を剥いて砕くんですけど、最後はピンセットで拡大鏡を使って、不純物を取り除くということをやっているんですね。

すごーい。

ビーントゥーバーチョコレートの特徴は、カカオ豆の産地によってチョコレートの味が全然違うことです。

はぁー。

チョコレートって、なんとなくこんな味ってあるじゃないですか。例えばナッツ系のフレーバーがあったり、酸味が強かったりとか。その酸味もフレッシュ系のベリーの酸味だったり、柑橘類の酸味だったりとか、色々なんですよね。チョコレートって発酵食品なんですよ。

そうなんですか?知らなかった。

現地で発酵させて乾燥されたものが輸入されてくるので、発酵の度合いによってもフレーバーの感じ方も異なって、うちで特徴的な豆があるんですけども、それはお酒が入ってるみたいって言われるんですよ。

入ってないのに?発酵でそうなるってことですか?

それとその豆の持つフレーバーが合わさって、最後は樽の香り。わたし、お酒が弱いのでよく分からないんですけど、ウィスキーとかそういった香りがフワーってしてくるっておっしゃるんですよ。そのチョコレートはバーでも採用してもらってて、お酒のあてって感じで一緒に提供されたりしてますね。

へぇー。


原料はカカオ豆ときび糖だけなんですよ。きび糖は全部同じものを使ってますので、味の違いというのはカカオ豆そのものの違いなんですよ。産地によってこんなに味が違うんだという、まずその驚きですよね。それがやっぱり面白いなと思いますよね。

カカオ豆を見たことはあるけど、そんなに違うって知らなかったです。

いま明治さんとか大手メーカーさんも出されています。

そうなんですね。でも手間暇かかるってことですよね。

かかりますね(笑)

喜びはどこにあるんですか。

やっぱり自分自身が食べても「こんな美味しいんだ!」というのもあるし、お客様も「美味しい」とか「感動した」とか、おっしゃっていただけたりですね。

バルーンアートとチョコレートのお話を聴いただけでも、裕江さんは惹かれたものに突撃していく感じがすごく伝わってくるんですけど。

よく言われますね(笑)

完全に直感型なんですか?

わりと慎重な方なんですけどね(笑)

アハハハ!これまでのハプニングとか面白エピソードとかありますか?

そうですね。昔のことは忘れたので、チョコレートでいうと、いまおっしゃっていただけたように、わたしはチャンスがあればやっとかなきゃと思う方なんですね。もう結構なお年頃ですから、後のことを考えると動けるうちに動いておこうというのがあって、2019年の4月にメキシコにカカオ産地の方に行って、11月にガーナに行ったんですよ。

ほぉー!すごい。


いまとなってはコロナになって、なかなか行けないので、これも行っててよかったなと思いますね。

行かれてどうでした?

なんでメキシコかというと、カカオの栽培を最初に始めたのがメキシコで。紀元前2000年とかなんですよ。

ほぉー。そんな前から。

ただ、いまはですね、さらに古いところが見つかっちゃったんですよ(笑) まだ文献とかは書き換えられてなくって。メキシコの南部なんですけど中米というのがカカオの原産地になるんですね。要は古代文明からカカオというのが、テオブロマと言われていて。「神さまの食べ物」という意味なんです。

へぇー。カカオが?

はい、昔は王さましか食べられなかった。食べられなかったというか、いまもなんですけど中米の人たちってカカオはドリンクなんですよ。

ほぉー。

もちろん固形も販売されているんですけど、固形になったのは150年前くらいからで、それまではドリンクとして親しまれてて。

それは甘くして飲むんですか?

ヨーロッパに渡ってから甘くなって、それが広まったんですね。

うーん。

昔のむかしは、スパイスをたくさん入れて、トウモロコシの粉とか、唐辛子とかシナモンとか、そういうスパイスを入れたドリンクとして。その時代の王さまは1日50杯飲んでいた強壮剤代わりに。

アハハハ!50杯?(笑)


はい。そういう文献があってですね。それで実はカカオを最初に見たヨーロッパ人というのがコロンブスなんですよ。

そうなんですね。

でもコロンブスは、使い道が分からなくて結局は持って帰らなかったんですね。その後に来たコルテスっていういわゆる征服者ですね。その人がヨーロッパに持って帰って広めたんです。ちょっと話が逸れますが、ゴムを広めたのもコロンブスさんなんですよ。大航海時代に原住民の子どもたちが黒い丸い弾むもので遊んでいるのを見て「これはなんだ?」と、ゴムを持ち帰ったんです。

へぇー。

バルーンアートをしていたときもコロンブスのおかげみたいなところがあるし、カカオも持って帰ってはいないけれど発見したのはコロンブスという発見つながりで。

面白ーい!

わたしも産地別で作ったチョコがこんなに味が違うんだという発見をまずしていただきたいので、チョコとコロンブスで「チョコロンブス」なんです。

面白ーい!コロンブスつながり、面白いですね。

メキシコの歴史的背景においては、カカオ豆がお金としても使われていたこともあって。

あっ、昔ですか?


そうですね。玉子1個とカカオ豆一個交換とか、トマトは5個だったかな。カカオ豆100個で奴隷1人みたいな。

ハァー。お話を聴いていると背景の話もすごく面白いですね。チョコレートだけじゃなくて、その背景にある歴史とかにも魅力を感じていらっしゃるんですね。

そうですね。メキシコに行って、遺跡とかにも行ってちゃんとカカオのモチーフとかもあったりして、そこから興味を持ってですね。まずはそういうところからのスタートでした。

コロナの前に行かれて正解でしたね。

そうなんです。うちはワークショップもやりますので。

どんなワークショップですか?

チョコレートを作るワークショップです。元々わたしが教えることが好きでですね。デザインもそうでしたし、バルーン教室もよくやってました。バルーンのときもタイのゴム農園に行って、ゴムの木の樹液をとるとか、そういうのをやったりしていたんです。やっぱり一次情報を持つってすごく大切なことだと思うんですよね。

うんうん。

だからやっぱりチャンスがあったら現地に行って生の情報を仕入れてっていうところですよね。

素晴らしい!こういうお話ワクワクします。自分の目で見て感じて確かめるってことでしょう?

そうじゃないと説得力を持ってお話ができないと思いますので。

ワクワクしますー。ただ聴いて、知っただけじゃなくて、自分の五感を通して体験して腑に落としてみたいなそのプロセスがやっぱり関係しますよね。何においても。裕江さんの人生でのターニングポイントのお話を聴かせてもらってもいいですか?


やっぱりいまとなっては、先ほどもお話したように東京に行くときの飛行機で見た「機内誌の特集」ですよね。その方とも何度もお会いして、実際にセミナーも受けさせてもらったりとかお話を聴かせてもらったりとかしたんですけど。

他の飛行機だったら出会ってない可能性がありますもんね。

そうなんですよ。その月の機内誌ですからね。

ですよね。実際に自分のなかで躍動したものに対して素直に行動する裕江さんですよね(笑) ただの情報だけではなくて、ご自分の感覚にすごく忠実だったりとか、コロンブスの発見と同じで、発見が人生にとってすごく大事だというお話を聴かせてもらったんですけど。発見とか感動とか気づきに対して敏感なんですか?

どうですかね。面白いことが面白くて(笑) 風船をやっていたときも「風船がすごく好きなんですね」と言われるんだけど、そうでもなくって。風船で遊ぶとなるとポンポンして遊ぶくらいしか分からないんだけど、風船っていろんなことができるんですよと。わたしは子どもたちに「とびっきり楽しいスーパー風船先生の授業」ということをしていて。軽く実験を取り入れたような。

いいー!

本当にパフォーマーさんは一本の風船をキュキュキュッてわんちゃんとかを作るんです。わたしたちは何個も使って違うものを作ったりとか、ドレスも家もなんでもできちゃうんですよね。風船って身近なのに、いままで考えもつかなかったことができるという面白さに惹かれてやってきたんですよ。チョコレートももちろん好きなんですけど、そのやっぱり背景を知るとこれがどんどんまた面白くなっちゃって……興味が赴くままですよね。

そのものというよりは、そこから波及した何かでいろんなものを得ているという感じなんですね。

その通りですね。チョコレートを通していろんなことを知る、その発見とか面白さですね。

裕江さんにとってお仕事にしても人生にしても大事にされていることってなんですか?

実際にすぐ行動しちゃったみたいな感じで、まずやるということですね。

まずやる!

まずやる、後で直すってよく言うんですけど。

そっか。まずやる!そして後で変えていくとか、修正入れていくとか。

そうですね。あとはやっぱり自分のためだけではないというところがちょっとあって、それはガーナに行ったときにすごく感じたんですけど。チョコレートって、児童労働のことを聞くじゃないですか。実際どうなの?というのもあったんで、自分で見とかなきゃと、ガーナに行ったんです。ガーナに行ったら現地で活動されているエースという日本のNPOの方がいらっしゃって。その方々と一緒に行動したんですが、第二の都市クマシという所から車で3時間半ぐらいかけて農村に行ったんですね。ガーナはすごい都会なんですよ。オシャレな人もいるし、スーパーも日本と同じぐらいの値段で物が売られているし。ただ農村に行くとやっぱり土だけの風景が広がっていて、すごく差があるんだなというのを感じたんです。最初に小学校に案内されて、農園で働く人たちがみんな集合して、わたしたちの前に並んだんですよね。そして歓迎されたわけですよ。


へぇー。

えっ?と思ったんですけど、拍手喝采でスピーチされて「あなた達のおかげで子どもたちは全員学校に行ってます。わたしたちの暮らしもよくなりました」って。わたしたちは美味しいカカオを作っていただいてありがとうございますという気持ちなのに、えっ?と思って。

うんうん。

そういうのをすごく実感して。わたしは国際貢献とかそういうのはできる人にやってもらって、と思っていたんですね。わたしはまだそんなんじゃなくて、美味しいチョコレートを作っているだけですからと思っていたんです。でもそこから意識してフェアトレードを選んでいたら、うちが取引させてもらっている商社の人たちって、みんなそういう思いから現地のカカオの品質を上げるように教育をして、いい物を輸入してくださるから、そういう所から買うことがめぐりめぐって国際貢献になっているのかなって、実感したんですよね。

グッときますね。

これを自分が知っているだけじゃなくて、やっぱり伝えなくちゃいけないっていう思いからお店を作ろうって思ったんですよね。

そこからのお店なんですね。

お店いつか持ちたいと思っていて。コロナでイベント事業の売り上げが一割になっちゃって、なんとかしないといけないというときに、まったくゼロにした方がもう誰にも迷惑かけないしという選択もあったんですけど。でもせっかくガーナに行って生産者の人たちと会って、それを伝えないのはもったいないなーというのをすごく思ってですね。ネットでの情報発信はすごく弱いんで、それよりはお店に来た人にお話させていただくのが一番いいなということですね。

ガーナの子どもたちは、きちんとした取引がされることによって確実に違ってきてるんですね。

そうですね。はい。

嬉しいです。

今もそこの団体にガーナ募金といって、売り上げのなかから定期的に募金するようにしています。ほんとわずかですけど、それがやっぱり支援にも繋がるし。どこで作られているか、ちゃんと適正価格で取引するフェアトレードはすごいんだなと思いますね。


このお話が聞けて嬉しいです。

ちっちゃい工房だからこそ出来ることなんだろうなという風には思いますね。

奥深いですね。チョコレート屋さんをしているんですと聞くのと、実際にこうやってきちんと裕江さんの心のなかにあるものとか、出会いとか背景とかを聞くのでは、同じチョコレートがぜんぜん違う感じになりますね。自分が大事だと思ったものを、すごく大事にされる方なんだなということを、お話を聴いていて感じています。

ありがとうございます。

こちらこそありがとうございます。いま鳥肌が立って、心の震えを感じています。これから裕江さんが、こんな風に展開していきたいとか、こんなことをもっとやってみたいとか、大事にしたいこととかありますか。

そうですね。うちもやっぱりコロナのせいじゃないんですけども、かなり厳しいのは変わりないんですよ。それでむりくりお店を作っちゃったんで。この先どうしたいというよりは、まずはちゃんと経営が続けていけるように一生懸命な感じですよね。

うんうん。

11月に、シーズンに突入でのオープンだったから、製造がぜんぜん足りなかったんですよ。地元のテレビさんに取り上げてもらったりしたので、バレンタインデーのときとか、ぜんぜん無くなったりとか。いまもうちは週4日しかお店の営業をしていなくて、週4日の午後からだけなんです。それぐらいなかなか手間暇かかるから作れないというのもあるんですが、やっぱりちゃんと利益を得るイコールこの仕事が続けられるということですから、まずはそこに持っていくことなんですよね。

うんうん。

この先どうする?というよりも、いまをなんとかしないとって必死です。

いつかこの時期を懐かしむときがくるんでしょうね。


そうですね。他のスタッフさんとかは実際カカオを見たことなかったりするので、そういう所に行ったりとか出来たらなーと。わたしも他の生産国とか行ってないので、コロナがおさまったら無理してでも行ってみたいなーと思ってます。

そうですね。いまは居る場所で出来ることを一生懸命するっていうのが全世界の人々に強いられていることなんでしょうね。

あとはこういった経験とかをできるだけたくさんの人に伝えたいなっていうのはありますね。

チョコレートを販売するだけじゃなくて、裕江さん自身の人生の経験から得た知恵とか、そういったものを伝えたいんですね。どんな方たちに伝わったらいいなと思いますか?

わたしのいままでやってきた経験からでいうと、うちのお店にも学生さんのバイトがいるんですが「思ったら行動よ」と言ってます。100のアイデアを出すよりは1の実践だと思ってて。だから本当やってみたいと思ったらやる。やってどうかというのは結果論なので、やらなかったのを後であれこれ言うよりは、何か行動してみた方が絶対いいと思うんですよね。それでダメでも気が済むというか。それがダメでも、こういう学びが得られたとか、何でもプラスに変えられるのも自分の力だと思ってます。そういったものを学生さんとか若い人たちに伝えたいなと思いますね。

やりたいことが分からないとか、好きなことが分からないとか、自分がこれから何をしたらいいかが分からないっていう方がたくさんいるじゃないですか。そういった方たちにもし何か発信するとしたらなんて言いますか?

やってみなさいよー!

アハハハ!

何かしたら程度はあるにしろ、自分の好きなことってあると思うんですよ。

ありますよね。

まずそこから入って、それをもうちょっと突き詰めていくとか。もうちょっとやってみたら?ということですよね。わたしなんか、デザインやったけれど、もっとすごい人たちはいるわけで、その中で自分が他の人と違うところはどこだろうとか考えたりとか、常にそういう風にやってきたんですよね。上を見たらキリがないけれど、自分だからこそ、ここなんだみたいな、そういうのもやると見えてくるんですよね。やらなかったら、なんか悶々としているだけで始まらないので、やっぱり行動あるのみかなと思います。

すっごい気持ちいいです。本当にそれだと思います。やりながらでしか分からないことだらけですよね。

そうですね。やって失敗してもいいんですよ。

アハハハ!それは失敗じゃないんですよね(笑)


そうです(笑)

裕江さんのお話、すっごく気持ちいいです。

よかったです。

裕江さんのようにチャレンジをされている女性って希望になっていくと思うんですよね。

自分ではチャレンジっていうのもあんまり考えてないんですよ。

コロナで大変な時期にお店をオープンとかね(笑)

あーーー!それはたしかに(笑)

それでもやろうと思えたのはなんですか?

チョコレートで採用したスタッフさんがいて、いま正社員になっているんですけど、その人にも「会社はいまこういう状況だから」という話をしたら、好きな仕事についたからやりたいと言うので「じゃ、やろう!」と。

裕江さんの人生にとって、仲間とかメンバーというのは重要ですか?

そうですね。「たくらみ屋」の人たちもポジティブ思考の人ばっかりで、コロナの時も「コロナのおかげで」って、みんな言ってたんですよ。わたしはとてもそういう気分にまだなれなくって、すごいな、この人たちと思いながら。こっちはドンドンドンドン赤字が膨らんでどうする?というときなのに(笑) そこから気持ちが変わったのも、周りの人たちがみなさん、だいたいセミナー事業とかやっている人が多かったので、みんな大変なのに考え方ひとつだなと思うし、応援してくれる人がいるという存在を感じられることですよね。

うんうん。人ですね。


人、大切ですね。

大切ですね。最終的にいつも人だなって思うことになりますよね。

本当にそうですね。

お話を聞けて、すごく嬉しいです。次の方をご紹介していただけますか。どんなユニークな方ですか。

山下郁子さんと言います。愛知県の方なんですが、バルーンアーティストです。世界一になっています。アルパカのいるお店をやっています。アルパカが大好きで、本当に飼っちゃってて。すごく頑張り屋さんで、世界一のバルーンアーティストです。作品見たらビックリしますよ。

楽しみです。ありがとうございます。
次回は、愛知県在住の山下郁子さんです。
得居裕江さん、どうもありがとうございました。