丹下左膳余話 百万両の壺

ずっと海外の映画ばかりを紹介してきたのでこのあたりで、日本の映画をひとつご紹介します。

古いモノクロの映画「丹下左膳余話 百万両の壺

過去に2度観て、今回アマゾン・プライムで3度目を観ましたが、やはり面白い。いい映画は何度観てもいいのですね。

話は、お家に代々伝わる「こけ猿の壷」が、実は百万両の価値があったことがわかり、壷を探し回る柳生家の兄弟を主軸に、常連客の息子を預かることになった矢場の女将と、そこの用心棒である丹下左膳が絡んでいく、というもの。

子どもを引き取る話となるとお涙頂戴が入りそうですが、そういうところはバッサリ切り、感情に流されず、サッサと話が進みます。これは時代劇の形をしたホームコメディーなのです。

ホームといっても血のつながらないツギハギの家族。この3人が魅力的でとてもいい。

大河内傳次郎演じる、丹下左膳は、素直じゃなく、まるで子どもみたいだが、一度刀を抜くとめっぽう強い!

矢場の女将もこれまた素直じゃないが、歌がうまくて実は愛情深い。

そして、子役のちょび安が自然でとてもいいのです。

特に、丹下左膳とお藤のやりとりがとてもおもしろい。

例えば、こんなシーン。

お藤が左膳にお客を家まで送ってやるように言う。

「いやでい、いやでい! 俺は絶対送って行かない」

子どものように、左膳が大声でダダをこねる。

しかし次のシーンでは、左膳がまんまとお客を家まで送っている(笑)

2人が素直でないので、万事がこの調子で進むのですが、こんな風に無駄なカットを使わずにクスッと笑わせるのが、映画全体に軽いリズムを作っています。

このリズミカルな感じは殺陣まで徹底しており、丹下左膳がエイヤ、エイヤッと飛びながら刀を振り下ろす様は、素早くとてもユーモラス。

こんな面白いエンターテイメント映画を撮ったのは、28歳で戦争によりこの世を去った伝説の天才映画監督、山中貞雄。この若さで15本撮るほど多作なのですが、撮った映画の中でほぼ完全な形で残っているのは3本だけ。その貴重な3本の映画のうちの1本をぜひご覧ください。

映画もそうですが、こんな素晴らしく、でも早くに亡くなった日本の監督がいたことをきっと誇りに思うでしょう。

《この映画はこんな人にオススメです》

★ホームドラマで心温まりたい人に

★日本映画の良さを噛みしめたい人に

★「男性っていうのは、まったくよ〜」って言いたい人に

★モノクロの映画を観たい人に

★ほんわかとドキドキを味わいたい人に

丹下左膳余話 百万両の壺
(アマゾンへ)

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