『三体』/ 著 劉 慈欣

この本はズバリ、中国人の書いた、SF小説です!!

「中国人」で「SF小説」と聴いて、食わず嫌いのあなた。本当に勿体ないです!!

これを読むと、きっと現代の中国人の印象が変わります。少なくとも、わたしは変わりました(笑) そして「SF小説」ですが、これはSF・ファンタジーの世界的な権威である「ヒューゴー賞」を、英語圏以外で初めて受賞した作品。「ハリーポッター」も受賞したヒューゴー賞のお墨付きもあり、SF色はもちろん色濃いのですが「何が起こるかわからない、わくわくはらはらの手に汗にぎる、超弩級のエンターテインメント」です!!

中国では2006年に連載がはじまり、2008年に出版されて、その後に三部作となって、完結したそうですが、日本では2019年夏にようやく一作目が出版されたばかり。それでもあっという間に10万部の大ヒットとなりましたが、本国では2,100万部というから、ヒットの桁が違います……すげー中国(笑) そして三部作の三部目もヒューゴー賞を受賞しているので、これはもう全編を通して期待できるでしょう!!

えーー本編ですが、本当に面白いです。面白いとしか、いいようがない。読んでいる途中から「やばーい、面白い!!」「すごい、面白いよ!!」と、何度も隣にいる真理ちゃん(一緒にバリに滞在していた時に読んでいたのです)に繰り返して、途中までのあらすじを何度も喋っていました。そして読み終わると、今度は旦那とドライブ中にあらすじを話しながら、何度も「絶対に読んでね」と繰り返したものです。ええ、わたしはしつこい蠍座。よかったものはなんでも、愛する人に共有し、押し付けずにはいられないのです(笑)


SF小説ですから科学用語がゴマンと出てくるのですが、わかりやすく説明されているので、知識がなくても平易に読み進めることができるレベル。多少わかりにくいところがあっても、物語中で「こういうことだろう」と想像できるような描写が多いので、問題ありません。

ストーリーは、まさにジェットコースター。1967年の文化大革命の最中、人が人を弾圧するという血生臭い場面から始まりますが、これも伏線。場面は一気に現代に飛んで、2010年頃の北京を舞台に繰り広げられます。

ナノテクノロジーの研究をしている第一人者の汪淼(ワン・ミャオ)が、いきなり「ある会議」に呼び出されるのですが、汪淼も読者も、それがなんの会議であるのか、さっぱりわかりません。全貌を知らされないまま、世界的に権威のある科学者たちが次々と自殺していることと「もう戦争が始まっている」ということだけが知らされます。戦争!? いったい、いつ、どこで? 誰と誰が? 事情を知らない汪淼と共に、読者は唐突に「世界規模で起こっている巨大な謎」に突入するのです。

中国の小説なので登場人物が基本的に中国人。その名前、たとえば「汪淼」を「ワン・ミャオ」と中国読みで覚えるか「おうみょう」と日本語読みで覚えるかで、読みやすさが変わるかと思います。わたしは読みがなは固定せずに、漢字をまるっと憶えて読んでいました。

会議から放り出されたあとの汪淼は、日常を取り戻すべく、趣味の写真を撮りに出かけます。それを自宅で現像すると、どの写真にも数字が書かれているのです。「1200:00:00」「1159:58:00」と、入れた記憶のない数字が……。

しかもよく見ると、1枚目を皮切りに、ほぼ写真を撮った時間差でカウントダウンされているのです。それに気づいた彼は別のフィルムで写真を撮りまくりますが、現像すると、やっぱりカウントダウンがそこにも……!! 妻や子に撮らせてみても、彼らが撮ったものには写らず、数字が写るのは汪淼自身が撮ったものだけです。試しに隣人からデジカメを借りて撮影すると、やはり自分が撮ったものだけに数字が写り込み……このあたりの謎が深まっていく感じは、まるでホラー小説のように、汪淼と読者を軽いパニックに追いこんでいきます。

その謎を解明しようと出かけていった先で、また別の謎にたどり着き、またそこを手掛かりにまた別の謎へ……降りることのできないジェットコースターに何が何だかわからないまま乗せられてしまった汪淼と共に、読み進めることをやめられなくなってしまうでしょう(笑)


タイトルにもなっている「三体」という名のヴァーチャル・リアリティのゲームが作中に登場するのですが、そのゲームの世界がファンタジックで、謎だらけで、とても魅力的で秀逸!! 謎が謎を呼び、壮大な伏線が次々と引かれていきますが、物語が予想以上のスケールの大きさで、びっくりしますよ。

しかも、後半にはちゃんとそれらの謎が解かれていき、伏線がすべて余さず回収されていくので、カタルシスもあります。

バラク・オバマが大統領在職中にインタビューで「三体」に触れて「とにかくスケールがものすごく大きくて、読むのが楽しい。これに比べたら、議会との日々の軋轢なんかちっぽけなことで、くよくよする必要はないと思えてくる」といった発言をして、全米で話題になったそうです。それくらいスケールが大きい物語(笑)

★この本はこんな人にオススメです

  • ジェットコースターのような爽快感を味わいたい人
  • 宇宙や人類の謎に触れたい人
  • 極上のエンターテインメントにわくわくしたい人
  • ストレスフルで小さなことにとらわれている人
  • 大きなスケールで物事を俯瞰してみたい人
  • 知的好奇心が旺盛な人

「中国人」の「SF小説」と、食わず嫌いせずに、ぜひエンターテインメント好きな人に読んでほしい作品です!!

三体

『三体』/ 著 劉 慈欣
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