『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』/ 著 ブレイディみかこ

近年、日本の国内で生活をしていると、外国人の観光客や労働者が増えたな……と、街中のコンビニやファミレスやデパートなどで、しょっちゅう感じるようになりました。でも、ただそう感じるだけで、なんの交流も生まれず、特別に意識することもなく「最近、外国の人が多いね~」と話しているだけで、やり過ごしてしまいます。

たまに、友達の彼氏や旦那さんが外国の人だったり、旅先で交流したり、尊敬している海外の先生から学ぶ機会があったりしても、外国人の多い職場にいるわけでも、普段から仲良くしている外国人の友達がいるわけでもなくて、まだまだわたしは、自分の知っている世界の、知っている人たちだけと付き合っているな~と思います。

東京オリンピック2020に向けて、街の看板や案内に多言語が増えても、語学の壁はまだまだ高くて、インターネットを通して、いつでも世界と自在にアクセスできるのに、検索するサイトはいまだに日本語ばかりです。まったく多様化されることのない、わたしの世界。

それでも少しは世界のことを知りたいな……と思って、さまざまな国際ニュースを読んでは、その相関関係や背景を理解しようと努めるのですが、やっぱり現地に出かけていって、そこで見て、話を聴かなければ、わからないことばかりですね。

なので、少なくとも、イメージや印象だけで「こうだろう」と決めつけるような偏見だけは持たないようにしよう……とは思うのです。もし、誰かから逆のことをされたら「何も知らないくせに!!」という気持ちになるだろうから。

 


 

2019年の秋に、興味津々に読み始めたのが『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』主人公は「イエロー(日本人)と、ホワイト(アイルランド人)のハーフ」である中学生の息子と、彼を正直でオープンな愛で見守る日本人の母ちゃん。母の視点から見た、イギリスはブライトンの地における「元・底辺中学校」というロックに満ちた彼の学校生活と、それを取り巻く、なかなかタフな環境……人種、ジェンダー、階級、政治、ブレグジッドと、現代のイギリスが盛りだくさん。

毎日いろいろな事件が起こるけれど、なんといっても、水瓶座チルドレンの息子さんが、SO COOL!! なんです。

意地悪してきた移民の子と友だちになったり、自分の人種について思いめぐらせたり。マジメで優等生な彼は、人種やジェンダー、政治の問題についても、軽はずみな判断はせず、よくよく観察して、彼なりの見解を抱くのですが、それがまるで哲学者のよう。かと思えば、急に日本のおじいちゃんの盆栽をもじった「盆栽ロック」を歌い始めるような愛らしさもあって、要するに、すごくピュアで賢くて、愛があるんです!!

共感というのは、相手の立場に立って考え、どう感じるのかを検証する能力である、と学校で習うと、早速それにしたがって、いろいろな人たちを素直に検証して共感してみたり。

イギリスの中学では、人種と差別について子どもたちに考えさせる教育があり、性教育ではLGBTQを学んで、自分たちはどうなのかと検証し、気づかぬ間に行われる虐待を防ぐための教育も行われていて、つくづくヨーロッパの多様性を意識させられます。これから先は日本でもオープンにその人間性や個人の個性に尊厳をおくような教育が行われるようになるのかな……?

世界男女平等ランキング2020で、121位というダントツに低いランクを叩き出している、我が国に、近い将来、そんな日がくるのか……!?

【国際】世界「男女平等ランキング2020」、日本は121位で史上最低

 


 

うちの息子が小学校から通っていた和歌山の「きのくに子どもの村学園」は、スコットランドにある学校をモデルにしているため、わりかし小さい頃から人種、ジェンダー、差別といったテーマで、子どもたちが自由研究する時間がありました。服装の規制がゼロなので、ここの子どもたちはわりかし個性を隠すことなく、オープンに育っていく傾向があるみたいですね。もちろん、その弊害もありますが、個性に関しては、自己肯定が育まれるように感じられます。

わたしたちは個人の素直な本性を他者から拒絶されると、それを隠そうとするか、逆にムキになって主張しようとするか、という傾向がありますね。差別と偏見と自己否定がなくなるためにも、日本でも子どもの頃から「自分自身について」もっと知るチャンスがあればいいのにな、と思います。

多種多様な人たちが集まる変化の真っ只中のイギリスにいて、子どもたちの個性がどのように花ひらいていくのか……著者の母ちゃんの、土壌を少しでも豊かにしようとする愛とロックがあふれる視点に、好感と共感を呼び覚まされます。とても読みやすく、面白く、興味深くて、いまの時代の空気を感じながら、すらすらと一気に読むことのできるリアル英国ライフです。

 

★この本はこんな人にオススメです

  • 2017~18年のブレグジッドで揺れるイギリスに触れたい人
  • 自分の世界観を広げたい人
  • 多様化する世の中の微妙な空気感を味わいたい人
  • 多様なジェンダー、人種のスクールライフに興味がある人
  • 子育て中、あるいは子育てに興味がある人
  • 愛と思いやりにあふれた知性ある親子関係に憧れる人

 

まっすぐでオープンで、あけすけで愛のあふれる親子の会話がとても気持ちいい本。普段、気づかずにいる世界に触れて、いろいろと考えさせられるきっかけにもなるので、本当はすべての人に読んでもらいたいです!!

著者もラストに書いているけれど、未来に希望が持てるようになります。
クールで賢い彼らに託せば、世界は大丈夫だなって(笑)!!

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
著 ブレイディみかこ
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