天満へおいで

2011年の初夏。
311のあとで関東の学校に息子を通わせることに魅力を感じなくなってしまった私と夫は、全国から自由でオルタナティブな学校を探していました。

もともと息子が中学か高校になったら、地方の自然の多い環境の下宿か寮の学校に通わせたいという目論見があったのですね。

生まれ育った横浜の公立小学校は、文教地区だけに、一年生から塾に通ってます!みたいな子が多くて、7割が中学受験するだけあって、勉強重視の雰囲気。

私は小学生のときぐらい遊べばいいのにという主義で、でもそうすると落ちこぼれちゃうんですね。みんな塾で1〜2年先の勉強をしてるから。

それで3年生の頃には、なんとなく自信のない感じの子になってしまって「友達はたくさんいるから休み時間は楽しいけど、勉強は好きじゃない」という感じで、なんか、可哀想だな……と思っていました。

その後に東日本大震災をきっかけに、もう早めにここを出てもいいんじゃない?と思うようになり、学校を探し始めました。

目をつけたのは「チャイムがない、宿題がない、テストがない、代わりに楽しいことがいっぱい」の、自由教育の学校です。

「まず、子どもをしあわせにしよう」というコンセプトにすっかり魅了されて、和歌山の山の中の学校に通わせることにしました。

この学校は寮があるのですが、金曜に学校が終わると自宅へ帰り、月曜の朝にまた学校へ向かいます。

なので、わたしたちも関西圏へ引っ越すこととなったのですが、仕事で毎月関東へ行くこともあるので、便利のいい大阪にすることにしました。

和歌山の学校から大阪まで1時間半近くかかるのですが、通学は週末と週頭だけなので、息子に頑張ってもらいます。

しかし、わたしは横浜、夫は東京生まれ。親も親戚も友達も近所にいて、関西圏には親族も付き合いの長い友人もいません。それどころか、地理も不明です。大阪に行ったこと、それまで2回ぐらいしかありませんでした。

大阪に引越しといっても、どこに住むのがいいのだろうか?

とりあえずネットで見かけた物件を通して、不動産屋さんに予約を入れて、関東からいくので、1日でいろいろ案内してほしい、まったく土地勘がないので詳しくおしえてほしいと連絡しておきました。

物件を見に行く前夜、夢のなかで、誰かが繰り返し、ささやきました。

てんまへおいで…てんまへおいで……

そして目を覚ましたわたしは「てんま」というところに住むことになるんだな、と確信しました。

この写真は天満ではありません。イメージです(笑)

新幹線で大阪へ行き、不動産屋さんに着くと、担当のお姉さんが7〜8軒の物件を準備してくれていました。
「全部内覧できるので、一気にまわって決めましょう!」と頼もしい限りです。

物件情報を見せてもらうと、そのひとつに「大阪天満宮」と冠したマンションがありました。

天満宮…てんま…これだ!

「あのう、ここにします
「はい?」
「たぶん、ここだと思うので」
「え、でもとりあえず、見に行きましょう」

そりゃ、そうだと思って、内覧に連れて行ってもらいましたが内心「きっとここだな」と思っていました。

梅田から一駅の利便のいいところで、大通りから一本入っている住宅街で、静か。
新築でリビングから、向かいのビルの屋上に祀られた稲荷神が見えます。

「ここにします」
「あのう、まだ1軒目ですし、いろいろ用意してますので、他も見てから決めた方がいいのではないですか?」
「他のところを見てもいいけど、たぶん、ここです」

結局、残りの物件を内覧するあいだ、移動も含めて、わたしは担当のお姉さんの恋愛占いをずっとしていました。淡路島出身と言っていた彼女はしあわせになったのでしょうか?(笑)

最後にとっておきの物件を見せてくれました。実はこれが不動産屋さん的に本命だったらしく、いくつか比較させておいて、最後に本命をドーン!と見せる仕様のようです。

超高層マンションのオーナー物件です。賃貸物件ではないので、キッチンやお風呂、洗面所など、高級感があふれていて、モノもしっかりしています。
中間階ですが、夜景も美しい。
それでいて家賃は最初に見たところと1万円ぐらいしか変わりません。

大阪天満宮の物件に決めていた心が揺れ始めました。

さすが、イチオシ物件だけあって、めっちゃいいーー!

しかし、なにかザラッとする直観が、ここはダメだと告げています。
だけど、気持ちは見た目の美しい物件に傾きつつある…。
夜景見ながら、ごはん食べるの、ええやん!

心が揺れて、結局その日は決めることができず、持ち帰って、夫に相談してから、返事をすることにしました。

事情を話すと夫はわたしの好きな方でいいといいます。
うーーん、どうしよう⁈

そして、その夜、夢を見ました。
それは最後に見た高層マンションで起きた悲劇的な光景の夢でした。

あれ、もしかして…と起きてから、大島てるで検索すると、ビンゴです。
紹介してもらった部屋ではないと思うのですが、近くの部屋じゃないかな?
知ってしまったからには霊感体質のわたしには無理です。

一瞬、浮気しそうになりましたが結局、本命に戻ってきました。
かくしてそれから8年半、途中で近所に引っ越したものの「大阪天満宮」で、いまも平和に暮らしています。

どこのどなたか存じませんが、あのとき、わたしを天満にお招きくださって、ありがとうございました!(笑)

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