繊細すぎて人とうまく付き合えないよーって感じている人に読んでほしい一冊です。
著者のトーン・テレヘンはオランダでお医者さんをしながら、動物たちを主人公とした物語を数多く、書いています。この本も、動物シリーズの一冊で、主人公はハリネズミ。
臆病で自信がなくて、自分のことが嫌いで、ほかの動物たちとうまく付き合えないハリネズミが、お家に誰かを招待しようと思いつき、お手紙を書きはじめます。
みんなに遊びに来てほしいと思うハリネズミ。でもでも書いていくうちに、次々と妄想が膨らでいきます。
「もしも◯◯って言われたらどうしよう」
「◯◯は、こうするんじゃないか」
そう考え出すと、不安で仕方ありません。
招待状を受け取った動物の反応を想像したり、動物がお家にやってきたときのことを想像したり、帰ったあとのことを想像したり。想像するだけでグッタリです。
そんなことになるくらいなら、誰にも来てほしくない。ひとりでいいやという気分になります。
ハリネズミのひとり妄想が、おかしいのです。何にも起きていないのに、よくそこまで思い浮かべることができるなーと関心します。手紙も出してないのに(笑)
もし、あの動物が来たら…。
もし、あの動物が来たら…。
こう言うに違いない、こんなことするに違いない、きっとこんな風に思うに違いない。
そのひとつひとつが、すべて被害妄想。素敵な想像がハリネズミからは出てこないのです。
ちょっと出てきたとしても、そのあとに素敵なことをヒックリ返していきます。なんと想像力の豊かなことか、よくそんなこと思いつくなーとも思うのですが、ハリネズミの気持ちも分かります。
もしも◯◯だったら、もしかしたら◯◯かもしれない……と。人付き合いをするなかで、思い込みが激しくなることがあります。もし◯◯だったらどうしよう、もしも◯◯と思われたら辛くて仕方ない。そんなことを考えはじめたら、人と関わるのがメンドクサクなって、ひとりでいいやという気分になります。
そういうときの妄想って、止められない。そんな自分を見ているようです(笑)
もしかしたらの妄想が広がりすぎて辛くなってしまう人、自分に自信がなくて、臆病になってしまう人。「傷つきたくない」「傷つけたくない」が強すぎて、人間関係が難しくてたまらないと感じている人に、ぜひ読んでほしいです。
この物語が、多くの人に読まれているということは、人とどう接していいか分からなくて、悩んでいる人がたくさんいるってことですね。
わたしだけじゃないんだと、ちょっとホッとします。