『日本の歴史を読みなおす』 / 著 網野善彦

わたしたち日本人は、世界において同一の王朝が最も長く存続している、とても希少な国の民族です。

同一王朝が続いていることから、時代が移り変わっても文化と言語が継続されるため、先進国で唯一、母音言語を話し、1,000年以上の歴史を悠に持つ神域や仏閣、お祭りをそのまま現在まで各地に所有、催行しています。

しかし、そうである割には国の成り立ちや歴史について、あまり詳しくない……という人もいるでしょう。

これは敗戦によってGHQが国史教育を改めたということや、あまりにも歴史が長すぎるため、テストが元号と人物名を暗記する方向に偏っているということや、教育者の思想によって語られる内容に幅があり過ぎるせいかもしれません。

わたしは中学のときに「見てきたかのように、歴史的名場面を語る」おじいちゃん先生から歴史を習って以降、日本史が大好きになりました。

いま、ここにある風習や文化がどこからやってきているのか……それは物や生活習慣のみならず、さまざまな物事についてまわる「理解」や「概念」を紐解くために、歴史が欠かせません。

それも誰がどのように活躍したのかという人物史のみならず、人々の暮らしの変遷や、どういう経緯でその文化が発祥したのかという、風土や背景としての歴史です。

 

先日「もののけ姫と犬神人」という、わたしが体験した奇妙な話を書いたのですが、映画「もののけ姫」の物語の背景には、歴史の影に隠された人々が大勢、登場します。

エミシの隠れ里、たたら場、タタラ場、ジバシリ、神人、石火矢衆、非定住民などなど、学校で習う歴史の中では登場しない人物たちであり、日本の文化や風習を支えることに影で貢献した人たちでもあります。

彼らが何者で、どんな役割を担っており、そしてそこで生じた概念が今日に至るまで、どのように受け継がれてきたのか……本書を読み進めることで、その一片の理解が得られるかもしれません。

中世日本史を専門とした歴史学者の著者が残した膨大な研究の一部ですが、とても興味­深く読むことができるでしょう。

現代の日本に受け継がれている風習や思想の原型の多くが室町時代に成立したということも
あまり知られてはいません。

当時の日本にはどんな職業があり、どんな人たちが、どのように暮らしていたのか……そこには死と聖と性が非常に近いところで関わっていた様子を伺い知ることもできるでしょう。

2020年の夏はコロナ禍で、あまり遠出する雰囲気ではありませんが、歴史を紐解くことはわたしたちの知性をここから遠くへと連れていってくれます。

そしてそれは、わたしたちが共通して持っている認識がどこからやってきているのかという、自分の心への理解ももたらしてくれるでしょう。

日本の歴史をよみなおす

日本の歴史を読みなおす
著 網野善彦
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